菅野 亮 自己紹介へ

古いものに手を加えて使うこと

2024/01/11(木) すべてスタッフの日常

昨年は「不便益」という言葉に出会った1年でした。

不便益とは、「不便であるからこそ得られる益」のこと。
皆さんは、そう言った経験はあるでしょうか?

便利、高機能、低価格、合理的…そういった価値観から離れてみて、
必要最低限の機能のものを選んでみたり、あえて不便な手段をとってみたり。

古いものを直しながら使うことや、価格は高くても、一つ一つ手作りで作られたものを使ってみることもそうかもしれません。

僕個人の話をすると、昨年車を乗り換えました。
8人乗りのミニバンから、30年前のジムニー(四駆の軽自動車)に。
現代の、快適装備や便利機能が盛りだくさんの車に比べて、
ぜひ、この何にもついていない運転席を見ていただきたいです(笑)



狭く、小さく、乗り心地も最悪ですが、それに勝る運転や所有の楽しさを感じる日々です。
古い車なので故障や不具合なども多々ありますが、少しずつ手をかけながら、じっくり付き合っていこうと思います。

 

弊社の家づくりでいうなら、古民家再生や、職人の手仕事へのこだわりは、通ずるところがあります。
古い家を直して住むことや、機械に頼らず職人の手仕事を守ることは、一見すると合理的でないように思います。
しかし、そこに宿る想いや、機能的な美しさ(機能美)と言ったものは、何にも代え難いなと感じています。

 

ところで、古い車に乗ってみて日々思うのは、どこまで手を入れるか?ということ。
部品を変え、色を塗り替え、改造して…
きっと、やろうと思えば現代の車と同じくらいとまではいかないまでも、便利に、カッコよく仕上げることもできると思います。

家に置き換えて考えてみると、古民家再生の際に、元の姿を活かした手の入れ方もできるし、
お金と時間をかけて、根本から作り変えて、現代的な生活を手に入れることもできるでしょう。
(あえて古民家をベースにする意味があるのかどうかはさておき…)

この辺りの考え方はお施主様の意向やご予算次第にもなってくるとは思うのですが、
せっかく、古いものを手に入れるのだからこそ、便利に、新しくするだけでなく、
「古いからこそ良い」「不便だからこそ良い」
といった点に目を向けてみるのも面白いかもしれないですね。

ちなみに僕がジムニーで一番気に入っているのは、手回しのウインドウです。

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