庭へとのびる版築白壁の家
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【コンセプト】
よくある郊外の閑静な分譲地の一画で、敷地面積約50坪、夫婦2人・子2人の4人の住まい、延べ面積約29坪といったスタンダードな規模であるため、居心地の良さや、快適性、経済性などのバランスのとれた住宅モデルとなることを目指した。
外観は、街並みを構成する一部として重要である。建築高さ、屋根、外壁後退を調整し、周辺環境と調和を図ったファサードとした。
【アプローチ】
一般的な住宅では、道路から1階の床まで約50-70cmの段差ができ、階段を設ける必要がある。
日常動線で不要な階段はストレスであり、バリアフリーの観点から事故の原因にも繋がるため、段差は外構計画(スロープ、車止め、玄関ポーチ等)
で自然に解消した。
【格子】
外観のアクセントになっている格子は目隠しの用途だけでなく、夏の厳しい日差しを調整する役目も担う。
【玄関】
限られた空間であるため、明かりは収納の上部から取り入れ、シンプルに納めている。
小物を飾る棚は目線の高さとし、奥には庭が見えるような計画とした。
【庭屋一如】
外部空間である庭も建築の一部として扱って計画した。
外部空間を内部に取り入れるため、天井・壁・床の仕上を庭へとのばし、内部空間を庭まで引き伸ばすような構成とする。
空間が広く感じるだけでなく、外部空間と内部空間を繋ぐ装置でもある。
【リビング】
プライベートな庭に隣接した、開放的で居心地のよいリビングとした。
庭の眺めに対するノイズを排除するために、FIX窓は枠をなくし、ブラインドボックスを天井に仕込み、たたみ代を隠蔽している。
階段吹抜け上部には、重力換気を促す換気用の窓を設けており、優しく風が流れる。
【ダイニング】
キッチン上部の窓から優しく光が入ってくるダイニング
空間に溶け込むように建築の造作材に合わせて、ダイニングテーブルはタモの無垢材を使用。
【キッチン】
普段使いではオープンにして使い勝手を最優先とし、来客時は建具を閉めて隠せるように計画した。
閉めた状態は建築家吉村順三氏が考案した吉村障子によって一枚のパネルに見える。
右側はパントリーとしており、玄関へと続く動線計画としている。
【階段】
空間を効率的に活用するために、階段もリビングの一部と考え、家具のように設えた。
壁掛けテレビでテレビ台は設ないため、AV機器収納としても機能する。(左下部分)
【洗面】
ホテルのようなすっきりした洗面化粧台は掃除も容易。
タオル、ドライヤー、歯ブラシなどの位置まで想定し計画することで、実用性も兼ね備えている。
【庭】
庭の地盤面を約40cm上げることでデッキとの段差が小さくなり、昇り降りしやすく、庭を一体的に使いやすい計画とした。
また、道路から約2mの塀の高さは、庭からだと約1.6mとなり、圧迫感なくプライバシーを確保している。
【ホール】
用途を決めていない2階のホールは、現在は第二のリビングとして活用している。
間仕切りを設ければ個室としても対応できる計画とした。
【寝室】
寝室は畳敷きとした。
正面奥はWICとなっており、上部を開放させて、採光・通風を確保した。
【子供部屋】
経済性を考慮して、シンプルな作りとしている。
【テクスチャ】
塗り壁は漆喰に松煙や寒水石を配合し、分量や塗り方などは現場で決定した。
日の光により多様な表情が浮かび上がっている。
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