日和見庵
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【コンセプト】
2階建て住宅が密集した団地の一角、約50坪の敷地にワークスペースを設置した平屋を計画。
一般的に敷地の南側に庭を設け平屋を計画してしまうと、周囲の建物から見下ろされる位置関係になり、目隠しの塀などを設けると不必要なコストかかるだけでなく、日当たりも悪くなる可能性がある。
それらの状況を踏まえ、コートハウス型が適切であると考えた。自らの建物の影の影響によって日当たりの悪い環境を作り出してしまわないよう、隣地境界からの空きはメンテナンス等の必要最小限のスペースのみを確保し、外部空間に面積を補完する計画とした。
明るく開放的でありながら、プライバシーが担保された外部空間と一体的利用をすることて、床面積約24坪と小さいながらも広く開放的な平屋が実現した。
隣地からの空きを最小限としたため、北側隣地の日照に配慮した建築ボリュームとした。
【ファサード】
道路からは室内が見えないように開口部、外構の計画をしている。また、まちに対して圧迫感を与えないように建物ボリュームを小さく計画した。
西日を遮る窓の格子は目隠しと外構のアクセントにもなっている。
【エントランス】
玄関ドアを開けると来訪者を出迎える庭木が姿を現す。
玄関収納、FIX窓の額縁を造作し、不必要な枠や部材といった要素をそぎ落とすことで巨大なピクチャーウィンドウとした。
【LDKと外リビング】
外リビングを外壁ではなく、ガラスで囲うことにより、LDKから距離が視覚的に近くなり、室内空間に広がりを与えている。
さらにその奥には中庭の緑と空が広がっている。
【キッチン】
造作とすることで住人と建築空間のスケールに合わせることができ、レンジフードや設備機器を建築に組み込むことで、空間を圧迫することなく整然と納まっている。
また、ダイニング側からは収納になっており、インテリアの一部にもなっている。
【家具と空間】
リビングに設えたテレビ家具は空間を緩やかに仕切る装置にもなる。
(家具の奥がワークスペース)
【日和見】
外部条件に合わせて建物の配置、開口部の設計、外構計画をすることで、住人だけの空、住人だけの自然を感じられる空間とした。
冬は日差しは室内に取り入れ、夏の日差しは遮るよう計算し軒を設けている。
【ワークスペース】
LDKと家具で緩やかに仕切られたワークスペース。
座った高さでは家具がパーティションとなり、独立した空間となる。また、立ち上がるとLDKを見渡せ、コミュニケーションが取れる仕組みとなっている。
【洗面】
ドライヤーや歯ブラシといったアイテムの収納場所を予め想定して作ることで常に片付いた洗面化粧台となる。
(引出内部にドライヤー用のコンセントを設置、三面鏡を既成品とすることで使い勝手を優先させている。)
【衣装部屋とランドリー】
家事の負担を軽減させるため、ランドリーで乾燥させた洋服類をハンガーにかけたまま衣裳部屋に収納できるよう、脱衣室と衣装部屋、ランドリーを横並びに配置させた。
【寝室】
中庭の紅葉越しにLDKからの気配が感じられる。
【外リビング】
大きな軒下に設けられた外リビングは雨の日でも活用できる。
【中庭】
日常生活の中で四季の移ろいを感じることができる。
地面を上げることでより庭が身近なものとなる。